スマートな海外進出をかなえる
“海外基準”の映像ソリューション
フラッグは、ロサンゼルス・ハリウッドに米国法人を設立。
海外の文化やトレンドに精通し、豊富な知見を持つ現地制作パートナー
Prodigium Picturesと共に、海外向けプロモーションにふさわしい映像を制作します。
ハリウッドだからこそ実現可能な映像表現で、クライアントの海外進出をサポートいたします。
国内向けの映像を国内で制作するのと同等の費用で
海外向けの映像をハリウッドで制作可能
動画を使った宣伝は海外での売上の成果に大きく貢献してくれるが、制作する際に非常に重要となる要素が、ダイバーシティだ。ダイバーシティとは「多様性」という意味である。ストックイメージ販売サービスを行うShutterstockが、英語圏の広告企業で働く1500人にアンケートを取った結果、大半の参加者が「ダイバーシティを意識した企業イメージは、企業のブランド向上になる」と感じていることがわかった。このことからも、動画制作において出演者や製作陣を決める上で、ダイバーシティが重要な要素の一つになるということがわかるだろう。
特に欧米では顕著なことだが、映像の中で特定の人種だけを用いた宣伝は訴求力が下がるだけでなく、ブランドイメージの低下に繋がることすらあり得る。例えば、アメリカは黒人奴隷の歴史が260年ほど続いたため、人種差別の問題が現在でも根強く残っている。そういう背景もあるためか、白人だけを使ったプロモーション映像が広告として成功するという事例はますます下降気味だ。今ではTARGETやウォルマートなどの超大型マーケットも、広告に起用するモデルに多様性をもたせている。
また、多様性の重要さが感じられる統計データもある。アメリカでは白人以外の有色人種の人口が伸びており、現時点のアメリカミレニアム世代は43%が有色人種(黒人、ヒスパニック、アジア、中東)という報告が出ている。ニールセン・カンパニーによると、2020年までに米国内の黒人の購買力は131兆円にもなると予測されている。また、今後はアジアやアフリカなどの有色人種の国の購買力が確実に伸びるだろう。その対策として、広告に登場するモデルにも多様性をもたせ、できる限り真実味のある映像を届けることが肝心だ。
別の事例を挙げると、イギリスでは2019年の6月から新しい法律が施行される。その内容は「ジェンダーの偏見を強めるような映像は違法になる」というものだ。映像の影響力を裏付ける反面、細心の注意が必要な法律ができたので、映像を作る上では気をつけなければならない。しかし、心配は不要だ。もともとアメリカはイギリスよりも人種の多様性さを広告へ取り入れる活動を積極的に進めている背景があるだけでなく、ハリウッドで映像制作する際には、制作スタッフ(監督やプロデューサーなど)も多様性をもった顔ぶれを集めることができるからだ。
またInstagramに投稿されたイギリス人のユーザーが作ったヒジャブ (イスラムの宗教的なヘッドスカーフ)を巻いたバービードールに問い合わせが殺到している。今後は玩具メーカーのマテルから車椅子に乗ったバービーや義足バービーも登場する。これは子供達のロールモデルが大きく変化することの予兆かもしれない。自分たちが子供の頃に見た動画広告と同じロールモデル(タレント)を使って映像を作ることは、これから購買力を持つ次世代の人々には響かないことになる。
昨年、アメリカではTARGETが「本当の女性の体型」という内容の宣伝を大々的に行った。痩せているモデル体型の女性だけではなく、一般的な体型の女性や太り気味の体型の女性を使った広告は影響力が大きい。海外では、映像表現は少し度胸試しのような側面があるが、過去のマイナスイメージに囚われない映像を世の中に出していくことで、他の企業よりも半歩先を行く勇気に信頼を置いてくれるカスタマーが数多くいるのだ。
ダイバーシティを取り入れた動画制作で海外へ
ハリウッドで映像を制作する際、ダイバーシティへの配慮はかなり浸透している。映像制作をしていると、プロデューサーだけでなくスタッフ全員がダイバーシティの重要さを感じているのが伝わってくる。弊社米国法人の現地制作パートナーであるProdigium Picturesが過去に制作した日本企業の海外向けの動画においても、キャストや、デモ映像の被験者の対象を幅広い人種に向けて制作することで成功を納めた。
京都のスタートアップ mui lab.のKickstarter向けクラウドファンドプレゼン動画では、ダイバーシティを意識したキャストを起用。結果、目標額を115%達成し、さらにBest of Kickstarterにも選ばれた。
CES 2019では、東京のMaaS系スタートアップWHILLの新しいイベントデモを撮影。撮影前から担当者と話し合い、映像に映る参加者もできるだけダイバーシティが反映されるよう考慮して、撮影を進めた。
ハリウッドは多様な人材で溢れているので、ダイバーシティを取り入れた広告制作は今までと比べて全く難しくなく、制作に最も適した環境だと言える。
気候帯の違うロケーションが詰まったカリフォルニア
海外に向けた動画制作サービスを提供する上で、野外撮影における要素がすべて詰まった場所に拠点を持つことは大事なポイントだ。世界で最も知られた撮影地であるハリウッドを有するカリフォルニア州は、いろいろな条件下で野外撮影が可能な魅力的な場所で、アクセス面での利便性も非常に高い。
ハリウッドがあるカリフォルニア州の気候
カリフォルニア州のほとんどの地域は地中海気候に属していて、比較的に夏は乾燥した晴れ間が続き、冬は雨が降るが、それでも温暖で真冬の寒さになることはほとんどない。ハリウッドがあるロサンゼルスやサンフランシスコなどの都市もその気候帯に属し、さらにそれらの都市の沿岸部は年間を通して平均気温が20度前後と過ごしやすい。
カリフォルニアは夏になると、早朝・深夜時間に海岸沿いの街で濃霧が発生することが有名だが、日中になれば消えるので撮影に影響することもない。また、カリフォルニアには砂漠気候帯も存在していて、ドライレイクのように乾き切った平らな大地から、スターウォーズに登場する別の惑星を模した砂丘砂漠までさまざまなロケーションがある。ロッキー山脈のある内陸部には、高山気候帯や亜寒帯気候に属する部分もある。さらに北上すると、身長の高いレッドウッドなどの木々が立ち並び、訪れる撮影クルーを圧倒してくる。このように、幅広い気候帯を併せ持った州なのだ。
他にも、広大なドライレイクや大規模生産型の野菜畑など、アメリカやオーストラリアにある広大な平地に似た場所は日本の都市部にはないし、アクセスも良くない。海外向けの撮影を野外で行いたい場合は、カリフォルニアのような複数の気候帯を持つ場所の方が柔軟に対応できる。
カリフォルニアの自然と野生動物
カリフォルニアには崖や岩山から砂地まで、さまざまな地形のビーチがある。そこにはクジラ、アザラシ、アシカなど、日本では見ることのできない野生動物が生息し、比較的簡単に、高確率でそれらを撮影することが可能だ。
靴を脱ぐための段差はない
グローバル企業向けの動画を国内で制作する場合に、必ず課題となるのが建築物だ。日本には靴を脱ぐ習慣があるが、海外にはもともとその習慣はなかった。近頃は靴を脱いでいる人も多いが、「No Shoes Rule」と言って、部屋に上がる時に「この家は靴を脱ぐの? それとも履いたまま?」という会話を耳にする。それもそのはず、日本の玄関と違って、玄関から中に入ると靴を脱ぐ場所がない。家庭によっては靴を玄関の外で脱いでから、中に入る家もある。そんな感じだから、日本で撮影した時に違和感が生まれてしまうのだ。
建物の作りや内装の違い
このようなことから、海外の人が見た時に映像に対する違和感が生まれる。他にも、似た事例はたくさんある。例えば、海外の家はユニットバスが多かったり、浴槽がなくシャワールームだけがある家が多い。これは海外のホテルに滞在された方ならよくお分かりかと思うが、日本と海外では部屋のレイアウトが明らかに異なる。
他にもいくつかの事例を写真を使って紹介してみよう。キッチンは海外と日本ではデザインが異なるものが多い。一軒家などの家族向けの家を撮影する場合、そのキッチンは明らかに日本よりも大きい。アイランドキッチンなどは海外らしい。ヨーロッパのキッチンはアメリカとそれほど違わないので、アメリカで撮影した映像をヨーロッパ向きに使用することは可能だ。
部屋の内装も日本とは異なる。海外では天井を高くデザインする傾向があり、部屋は必要以上に広く、開放的な作りになっている場合が多い。日本のモデルハウスでは難しい構図での撮影も可能だ。
欧米のカスタマーに馴染みのある環境を撮影できるロケーションは日本にはほとんど存在しない
海外のモデルハウスを使って撮影することで、海外の人にとって親しみのある部屋を演出することができる。グローバル企業が海外で商品やサービスを販売する上で、恐らく思っている以上に映像の影響力は大きい。普段気にしない部分だとしても、パッと見た時に特定できない違和感を生んでしまうと、せっかくの映像も十分に伝えきれずに終わってしまう。また野外と室内を別のロケーションで撮影し、ストック素材を活用して編集であたかも同じロケーションに見せるという技術があるが、内装がヨーロッパとも似ている家がたくさんあるハリウッドでは、そういう撮影の仕方をすることも可能になってくる。
日本とは違った建物に住んでいれば、当然部屋の使い方も変わってくる。できるだけ海外のリアルな生活に近い環境で撮影することで訴求力の底上げにもなり、より正確なカスタマーを見極める手段にもなる。撮影ロケーションはリアルとのズレがもっとも目立つ部分でもあるので、ここを妥協せずに是非、海外での撮影をオススメしたい。
正しく伝えるための聞き取りやすい英語の重要性
グローバル企業の公用語は英語だ。欧米だけでなく、アジア圏でも展示会では多くの場合には英語が主となる。海外で営業をするには英語でのプレゼンが必須となるが、英語に自信がない時にも動画を使ったプレゼンテーションは役立つ。そして明確で分かりやすい英語は、動画制作において特に重要な要素なのである。
動画の中でのナレーションの使い方2ケース
海外向けのプロモーション動画は、ナレーションだけを使用して視聴者に向けて語りかけるケースと、タレントが語りかけるケースの2つに分けられる。
ナレーションを使った動画の場合、語り手が画面に映っていないため、映像では商品デモを行ったりして、視聴者の理解をサポートする手法がもっともよく使われる。この場合、ナレーターの英語が明瞭で分かりやすいことが最低条件になる。それに加えて、ゆっくりと読んだり、他の単語と間違えにくい単語を選んだりしながら、分かりやすくインパクトがある英語表現になるよう、工夫をしなければならない。そのため、収録の際にはナレーターに予めナレーション原稿を送り、校正依頼を出しておく。経験豊富なナレーターであれば、さらに良い方法で内容を伝えるにはどうしたらいいのか、ニュアンスに問題はないか、文法にも間違いがないかなど、1つ1つ丁寧に確認してもらうことができるので、非常にありがたい。
タレントにカメラに向かって語りかけてもらう際にも、聞き取りやすい表現になっているか、読み上げるスピードが尺を取りすぎていないか、逆に早すぎて聞こえにくくなっていないかなど一緒に考えて、何度かリハーサルをして撮影に臨むのだ。
ニーズに合ったナレーターを見つける
英語の聞き取りやすさだけでなく、声のトーンや印象によっても聞き手の受け取り方は変わってくる。ハリウッドにはナレーターも多く、ニーズに合った人材を見つけることができる。ナレーションのクオリティを高めるため、収録の際に声色を何パターンか変えてもらって収録したり、読む早さを変えてもらったりと、編集時にさまざまなバリエーションの中から選ぶことができるように依頼することも可能だ。
日本とは違う英語圏の映像構成
構成の段階において、英語圏と日本語圏ではそれぞれ組み立て方が変わる可能性がある。例えば、アメリカの場合、まず最初に「どういう商品か、どういうサービスか」を説明する必要がある。つまり、「カスタマーのメリットは何か」が第一で、「企業理念や作り手の想い」はその次となる。日本ではまず最初に「どのような想いで起業したのか」、または「どのような目的で作った商品か」を説明する。まずは理念に共感してもらってから、商品の説明に入る形が基本になっている。
アメリカでは、まずカスタマー本人のメリットを確認させる。起業家や作り手のビジョンに共感してお金を出してくれる人はもちろんいるし、キックスターターなどのファンディングプラットフォームには、そういう作り手の情熱に対して投資したいと思っている支援者も多い。そういった人のためにも理念を話すことは肝心だが、話す手順はあくまでも一般的なカスタマー向けであることが原則になっている。
ハリウッドで制作するのであれば、現地の構成作家と一緒にしっかりと構成を検討することも可能だ。
予算に合ったレコーディングスタジオを探す
海外ではレコーディングスタジオを使って収録することが多いのだが、ナレーターが自宅に作ったホームスタジオを利用することもある。その際、価格はリクエストに応じて対応してくれる場合が多いにもかかわらず、レコーディングスタジオ同等に近いクオリティの音声を受け取ることができるので、大変驚かされる。
映像産業の最先端
ロサンゼルスに住んだことがある人なら誰でも、ハリウッドは映像産業の街だと感じることがある。連日連夜、いつもどこかで撮影している様子を見かけたり、住んでいるアパートの住民がすべて映像業界関連の人だったりすることも少なくないからだ。
映像を作って生計を立てている人がとにかく多いので、産業としても効率化が進んでいる。映像の仕事の需要が多いために分業化が進み、労働組合 (ユニオン) が各々の分野でワークショップを開催したり、業界誌を発行したりして若手育成に力を入れている。それによって、ハリウッドにはプロフェッショナルな人材が多く集まり、世界レベルのスタッフを現地で雇用することで、クオリティの高い映像制作ができるのである。
晴れ続きは撮影の強力な味方
ハリウッドが映像制作に向いているのは、その気候のおかげでもある。年中晴れていて、気候も温暖で日照時間も長いので、長時間撮影することができるのだ。日中に撮影できる時間が長いのは、映像制作においてあらゆる面でプラスになる。というのも、複数の撮影カットを繋げてひとつの映像にする際、カットごとに天気が変わると不自然な映像になってしまうからだ。天候の安定したハリウッドで撮影することで、十分な映像素材を収録することができる。この天候に恵まれた環境は、ハリウッド映像産業の成長の促進になっていると言える。
タレントの権利問題もスムーズ
日本で外国人タレントを起用した場合、映像の利用期間に合わせて、事務所が提示する使用料が発生する。また、無期限で映像を使用(買取)したい場合、その金額はさらに高くなる。
海外では、売れっ子を起用しない限り、基本的に映像の使用権利は無期限で制作会社に譲渡される。これは撮影現場で製作スタッフによって交わされるディールメモに記載されているので、権利が守られることになる。
映像制作の優秀な人材が豊富
ハリウッドで動画制作を行うメリットとして、業界の成熟度をまず第一に挙げたが、同じく重要なのは人材が揃っているということ。
ロサンゼルスには大勢のスタッフがいて、しかも技術レベルの高い人材が多い。撮影の許可取りの代行をするNPO・Film LAの年間調査によると、2018年度にロサンゼルスで行われた撮影の総日数は38,795日分。それぞれの撮影に関わっているスタッフの数も考えると、非常に多くの人が携わっていると言える。
ハリウッドではアシスタントであっても、その道の一流を目指す。というのも、例えばアシスタントカメラマンは単なる助手ではなく、カメラマンの右腕となるので、特に大規模な映像の製作では、アシスタントの力無しでは撮影が回らなくなるからだ。また分業化の結果、非常に効率的な働き方の労働環境が生まれたが、アシスタント業務を担当する人たちは各々のクリエイティブな能力を発揮して、認められることがキャリアの中で重要となってくる。そのため、各分野で働くアシスタントクルーは自分の能力をいかに役立てられるかを模索している。ハリウッドの労働組合は業界の若手育成のため、各分野での著名人を招待したセミナーを多く開催しており、その後押しもあって、分業化された産業のクオリティ維持が可能になっている。結果、ロサンゼルスにはどの分野のプロもたくさんいるので、撮影ごとにメンバーがすべて変わったとしても、新しいプロのチームを即席で作ることができるのだ。
120万人のモデルが集うハリウッドの人材サイト
豊富な人材というのは、カメラの裏側だけの話ではない。
アメリカの中でも、ロサンゼルスとニューヨークにはCasting Networkというタレントのキャスティングサイトが存在する。日本で外国人タレントを起用したい場合、各タレント事務所のサイトに掲載されているメンバーを写真ベースで選ぶか、サイトには載っていないタレントを事務所から提案してもらうことになる。アメリカでは「キャスティングコール」と言って、製作側が募集をサイト上でかけるとタレント事務所や、マネージャー、Casting Networkに個人で登録しているタレントへ一斉に通知が届く。キャスティングコールする際に、年齢層や人種、性別から撮影の内容、ギャラまですべて設定できるので、その内容に合った人だけに通知が届き、興味を示したタレントや事務所はタレントの個人アカウントページを製作側に見えるようにする仕組みになっている。
また、ネット上での写真による応募から、実際にオーディションルームでの顔合わせまで、キャスティングに必要なサービスが盛り込まれているので、すべてこのサイト上で完結することができる。
現時点でCasting Networkに登録しているタレントの数は120万人。中にはアメリカのテレビドラマに出ているタレントもいて、非常に才能のあるタレントを起用することができる。サイト上でタレントのデモ動画や、複数のヘッドショットと呼ばれる写真を見ることで容姿や雰囲気が掴むことができる面では、日本の外国人タレント事務所のサイトよりも優れている。
アメリカでの労働組合 (ユニオン) の話をしたが、それはプロフェッショナルであることの認証制度にもなる。タレントを選ぶ基準として、そのタレントがユニオンに入っていることはかなり大きい。ユニオンに入っているということは、過去にたくさんの作品に出演した実績があることが分かるからだ。また、ユニオンメンバーでいるためには年会費を払い続けなければならず、決して金額も安くない。その金額を払ってユニオンメンバーでいるということは仕事へのコミットメントの証明でもある。もちろんカメラなどの技術スタッフもユニオンメンバーを使うが、予算が比較的に小さい撮影の場合(ウェブコマーシャルほぼすべて)でも、タレントは必ずユニオンに入会している人から探すべきである。
ダイバーシティがいかに重要かを説明したが、ハリウッドの豊富な人材は、ダイバーシティを持った映像制作を行うことや、才能あるタレントを起用することのどちらも可能にしてくれる。今後、世界に展開していきたいグローバル企業の映像は世界のダイバーシティのニーズに応えていくべきだ。ハリウッドではそれができる。
現地プロデューサーを使ってハリウッドチームを結成
映像制作は多くのスタッフが関わる仕事だ。前述したように、プロの人材がいることは嬉しいことだが、彼らについて詳しく知らなければ雇うことができない。そのためにも、現地を拠点にしているプロデューサーを起用して、優秀なスタッフを率いてもらう必要がある。ハリウッドでは、いつも同じチームで撮影しているわけではなく、常にスタッフが入れ替わりながら撮影を行っている。そのための多くの人材を知り、その時々で雇用可能なチームを作ることができるのは現地プロデューサーなのだ。
ハリウッド制作は高くない
ハリウッドで動画制作することのメリットとして、システム的な産業としての仕組みを持っていることと、豊富なキャストとクルーが揃っているということの2点を挙げたが、企業が最も心配する点はコストだろう。ここで改めてお伝えしたいのは、ハリウッドでの映像制作は決して高くないということだ。
映像制作を行う上でコストがかかるものをいくつか挙げると、(1) 人件費 、(2) 機材費、 (3) ロケーション費、となるが、ハリウッドではそれぞれの費用を非常に良心的な価格で手配できる場合が多い。
制作スタッフの人件費は日本と同じくらい
日本と比べて、ハリウッドでは人件費が何倍にもなるというのは嘘だ。もちろん、有名タレントと同様に事務所に所属している売れっ子監督やカメラマンは料金が高いが、事務所に所属していないプロフェッショナルな制作スタッフもたくさんいる。また、彼らが住んでいるロサンゼルスの物価は東京と変わらないため、日本国内で制作した場合と相応の賃金で依頼することができる。
日本と比べて圧倒的に安い外国人タレントの出演料
日本で外国人タレントを起用すると、かなりコストが高くなってしまう。もともと事務所の数が多くないこともあるが、且つ低予算案件の場合、オーディションを行うことが難しい。オンライン上で直接タレントとやりとりしたい場合も、間に事務所が入るので、非常に煩雑で手間がかかるのが現状だ。また、日本に定住するタレントの数も多くなく、日本でタレントになるために海外からやって来る人などさらに少ない。そんな中で、今後求められるダイバーシティのニーズに応えつつ、一流のタレントを起用することは極めて難しくなっている。ハリウッドの人材が豊富な点は述べたが、外国なので外国人タレントが多いのは当然。しかもハリウッドでは、労働組合 (ユニオン) に加入しているタレントも、日本で外国人タレントに支払う出演料よりも安く依頼することができる。これは長年の労働組合らによる価格設定が定着してきたことにもよるが、中でも非常に厳しい競争率の中にいるタレントは値段交渉が可能になっている。さらに、キャスティングサイトなどは、製作陣と役者との直接のやりとりを可能にしているため、とても効率的だ。
これらの点から見ても、タレントやクルーの人件費の比較ではハリウッドが有利だ。
機材・スタジオ照明費も安い
ハリウッドの機材費は日本に比べて圧倒的に安い。まず、レンタルハウスは多くあり、必要な機材はなんでも手に入る。照明機材のレンタルと言えばWoodennickel。ハリウッドでも老舗で、なんと1996年以降はレンタル価格が変わっていないという低価格レンタルハウス。他にも、Sammy’s Camera, Quixote, ShareGrid など、必要に応じてさまざまなレンタルサービスが存在しているので、予算に応じて機材を自在に使い分けることも可能だ。
シネマカメラで最高画質の映像撮影を
機材費が安いメリットを活かして、日本では価格帯が高いシネマカメラなどを使ったウェブコマーシャルを撮影することが可能になる。
シネマカメラをなかなか使えない主な理由は2つ。1つは機材が高いこと。もう1つは、収録方式が違うため、事前にその知識を持つポストプロダクションとの連携をとる必要があるからだ。しかし、ハリウッドには豊富な人材が存在するため、シネマカメラでのワークフローに慣れているスタッフはいくらでも見つけることができる。それは現場だけではなくポストプロダクションにも言えることで、納品までしっかりと映像のクオリティを高めることができるのだ。
豊富なロケーションとその費用について
グローバル企業の広告動画において、撮影するロケーションも重要な要素だと述べた。日本でもモデルハウスを利用することが多いが、日本のカスタマー向けに制作することを前提としたモデルハウスがほとんどで、海外市場に向けた映像制作にふさわしい場所はほとんどない。ハリウッドは撮影ロケーションの宝庫だ。
ハリウッドで撮影現場の候補地を探す際に、よく使われるのはPeerSpace。撮影ロケ地を低価格で探すのに大変優れたサイトだ。ロサンゼルスだけでなく、ニューヨークなどでも撮影スタジオを含む多くの物件を利用することができる。値段も安いものから相応のものまで幅広く、日本で支払うのと同等の費用で丸一日レンタルして撮影することができる。
また照明などの機材のレンタルコストも安価だと説明したが、スタジオなどでの撮影には照明は必須になる。スタジオ代金もその他の機材代金も安いため、映像を撮影するのにハリウッドは非常に便利だ。
さらに細かい話をすると、撮影する際に機材が多いと運搬が大変だが、大型の車が多く、道幅の広いロサンゼルスでは機材の運搬も効率的にできる。一方、道幅の狭い日本では、車での機材運搬・搬入は時間の取られる作業になってしまう。これは結果的に撮影時間が削られてしまうため、理想的とは言えない。つまり、ハリウッドでは車での運搬(レンタル機材のピックアップなども含む)をスムーズに行えるので、撮影に影響が出にくいというメリットもあるということだ。
高くないハリウッド
これまでの説明を通して、ハリウッドでの映像制作は高くないということが実感いただけたかと思う。グローバル向けの映像制作を、コストが安そうだからと決めつけて日本で行うよりも、ダイバーシティ、建物の作りや天候の違い、そして人材など、直接映像に反映される部分だけでなく売上に影響する部分にまで目を向けて、決断いただく手助けになれば幸いだ。
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