2021.06.01

海外基準の映像制作が国内では出来ない理由 ~ダイバーシティ編~

避けて通れないダイバーシティ

動画を使った宣伝は海外での売上の成果に大きく貢献してくれるが、制作する際に非常に重要となる要素が、ダイバーシティだ。ダイバーシティとは「多様性」という意味である。ストックイメージ販売サービスを行うShutterstockが、英語圏の広告企業で働く1500人にアンケートを取った結果、大半の参加者が「ダイバーシティを意識した企業イメージは、企業のブランド向上になる」と感じていることがわかった。このことからも、動画制作において出演者や製作陣を決める上で、ダイバーシティが重要な要素の一つになるということがわかるだろう。

特に欧米では顕著なことだが、映像の中で特定の人種だけを用いた宣伝は訴求力が下がるだけでなく、ブランドイメージの低下に繋がることすらあり得る。例えば、アメリカは黒人奴隷の歴史が260年ほど続いたため、人種差別の問題が現在でも根強く残っている。そういう背景もあるためか、白人だけを使ったプロモーション映像が広告として成功するという事例はますます下降気味だ。今ではTARGETやウォルマートなどの超大型マーケットも、広告に起用するモデルに多様性をもたせている。

また、多様性の重要さが感じられる統計データもある。アメリカでは白人以外の有色人種の人口が伸びており、現時点のアメリカミレニアム世代は43%が有色人種(黒人、ヒスパニック、アジア、中東)という報告が出ている。ニールセン・カンパニーによると、2020年までに米国内の黒人の購買力は131兆円にもなると予測されている。また、今後はアジアやアフリカなどの有色人種の国の購買力が確実に伸びるだろう。その対策として、広告に登場するモデルにも多様性をもたせ、できる限り真実味のある映像を届けることが肝心だ。

別の事例を挙げると、イギリスでは2019年の6月から新しい法律が施行される。その内容は「ジェンダーの偏見を強めるような映像は違法になる」というものだ。映像の影響力を裏付ける反面、細心の注意が必要な法律ができたので、映像を作る上では気をつけなければならない。しかし、心配は不要だ。もともとアメリカはイギリスよりも人種の多様性さを広告へ取り入れる活動を積極的に進めている背景があるだけでなく、ハリウッドで映像制作する際には、制作スタッフ(監督やプロデューサーなど)も多様性をもった顔ぶれを集めることができるからだ。

またInstagramに投稿されたイギリス人のユーザーが作ったヒジャブ (イスラムの宗教的なヘッドスカーフ)を巻いたバービードールに問い合わせが殺到している。今後は玩具メーカーのマテルから車椅子に乗ったバービーや義足バービーも登場する。これは子供達のロールモデルが大きく変化することの予兆かもしれない。自分たちが子供の頃に見た動画広告と同じロールモデル(タレント)を使って映像を作ることは、これから購買力を持つ次世代の人々には響かないことになる。

昨年、アメリカではTARGETが「本当の女性の体型」という内容の宣伝を大々的に行った。痩せているモデル体型の女性だけではなく、一般的な体型の女性や太り気味の体型の女性を使った広告は影響力が大きい。海外では、映像表現は少し度胸試しのような側面があるが、過去のマイナスイメージに囚われない映像を世の中に出していくことで、他の企業よりも半歩先を行く勇気に信頼を置いてくれるカスタマーが数多くいるのだ。

ダイバーシティを取り入れた動画制作で海外へ

ハリウッドで映像を制作する際、ダイバーシティへの配慮はかなり浸透している。映像制作をしていると、プロデューサーだけでなくスタッフ全員がダイバーシティの重要さを感じているのが伝わってくる。弊社米国法人の現地制作パートナーであるProdigium Picturesが過去に制作した日本企業の海外向けの動画においても、キャストや、デモ映像の被験者の対象を幅広い人種に向けて制作することで成功を納めた。

京都のスタートアップ mui lab.のKickstarter向けクラウドファンドプレゼン動画では、ダイバーシティを意識したキャストを起用。結果、目標額を115%達成し、さらにBest of Kickstarterにも選ばれた。

CES 2019では、東京のMaaS系スタートアップWHILLの新しいイベントデモを撮影。撮影前から担当者と話し合い、映像に映る参加者もできるだけダイバーシティが反映されるよう考慮して、撮影を進めた。

ハリウッドは多様な人材で溢れているので、ダイバーシティを取り入れた広告制作は今までと比べて全く難しくなく、制作に最も適した環境だと言える。

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